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(06/03)
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雪見 夜昼
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ネット小説とか書いてます。竜†婿は「小説家になろう」でも公開中です。
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第6話 異世界人の力

「ガァァア!」
 
「ギャォォン!」
 
 ガシッ!
           
 襲い来る黒竜に、横から割って入った白竜が掴みかかった。
 どこから湧いた? あ、審判の人か。
 でもゲオルグには勝てないだろうな。
 黒竜のが強いらしいし。
 
「ニナ、下がっとけ」
 
 俺は抱えていたニナを下ろす。
 
「し、しかし、わらわも協力したほうがよくないか? 竜型は人型よりもかなり強いぞ?」
 
「そんな腰が引けてるヤツに言われてもなあ」
 
「そ、そんなことはないわ!」
 
「はいはい。わかったから下がってろって。試してみたいことがあるんだよ」
 
「試す?」
 
「まあいいからいいから」
 
 正直、ニナもゲオルグも、最初の印象程には苦戦しなかった。
 元の世界では、小学生の時以来全力を出した事がないから、今一俺の全力がどれくらいかわかんないんだよな。
 攻撃する時に手加減する癖がついてるし。
 竜化したゲオルグは見るからに頑丈そうだし、かなり力を込めても死にはしないだろう。
 良い機会だ。異世界補正(魂の伴侶)込みでどれだけやれるのか、試してやる。
 
 審判の人は粘っていたが、ゲオルグに傷もつけられず、防戦一方だ。
 白い鱗の隙間から、血が滴っている。
 
「審判の人、もういいから、下がってて」
 
 俺はニナが控えスペース付近まで戻ったのを確認してから、審判の人にも退避を促す。
 
『しかし……』
 
 うおっ。なんか頭の中に声が響いた。
 竜型だとこんな風に意志が伝わるのか。
 
「別に下がらなくてもいいけど。巻き添え喰っても知らんぞ」
 
 そう言って、俺はゲオルグに向かって走り出す。
 
 ダッ!
 
 両脚に力を込める。
 
 ガッガッガッガッガッ!
 
 蹴った地面がことごとく抉れ、身体は底なしに加速する。
 ……やっぱ、いくらか加減しないとやばいかなあ。
 ゲオルグなんぞどうなってもいいが、王子だから殺すといろいろまずいかもしれんし。
 
 ダンッ!
 
 ゲオルグまで4メートルくらいの地点で、強く大地を蹴って跳び上がる。
 
「はっはー!」
 
 加速の勢いと全身の体重を乗せて、浮かせた体ごと両足裏を相手に叩きつける蹴り技。
 まあつまり、ドロップキックだ。
 
 審判の白竜人と組み合っているため、立ち上がり気味の黒竜。
 その腹の部分、若干鱗が薄くなっているそこに、俺の両足がめり込む。
 
 黒竜の体がくの字に曲がり、その巨体が浮き上がる。
 俺は衝突によるエネルギーを膝のクッションで受けとめると、ゲオルグを蹴りつけるようにして、反動で体を留める。
 
 ズガァァァン!!
 
 黒竜が吹っ飛び、その身体で決闘場の地面を10メートルほど抉り取った。
 
「っとと」
 
俺は空中で回転し、着地。
若干殺しきれなかった勢いで、数歩よろけた。
 
成程。少なくとも黒竜人の上の下くらいは余裕で倒せる、と。
しかし、スニーカーがボロボロだな。これ高かったのに……。
 
 ――ワアアアアア!
 
 黒竜が怖くて、あるいは黒竜人の第2王子に刃向うのが怖くて傍観していた観衆が、歓声を上げた。
 現金な奴らめ。
 この場合俺か審判の人が倒すのが、一番丸く収まったのは間違いないけどな。
 
 倒れているゲオルグを見ると、人型に戻っていた。
 ちゃんと服は着ている。
 どういう仕組みなんだ?
 おかしいだろ! 竜型の時は真っ裸(まっぱ)だったろうが!
 
 後ろを向けば、走って来るニナが見えた。
 
 ふう。とにもかくにも。
これで人生勝ちぐ……じゃなくて、ニナは望まぬ結婚をしなくて済むな、うん。
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